行事
"「五老井忌(ごろうせいき)」は仲秋の季語で、蕉門十哲の一人である森川許六(もりかわきょろく)の忌日、陰暦8月26日を指します。許六は俳人であり画家でもあり、松尾芭蕉の高弟として活躍しました。蕉門の中で俳諧と絵画を融合させた独自の美意識を持ち、芭蕉と共に『奥の細道』の旅にも同行し、その世界を絵筆で表現しました。 号の「五老井(ごろうせい)」は、京都にあった井戸の名前に由来するとされ、雅号としての風格が感じられます。彼の句や画は、蕉門の精神を受け継ぎつつも、洒脱で繊細な個性を持っています。例えば、俳諧の句に自然への深い眼差しが宿ると同時に、軽妙さが漂います。 「五老井忌」という季語には、俳諧の歴史における重要な人物を偲ぶ気持ちとともに、秋の静けさや風流な趣が込められています。許六が遺した俳句や絵画に触れることで、俳諧の世界におけるその存在の大きさと、芭蕉との師弟関係を思い起こさせます。"