生活
"引飯は、炊いた米を乾燥させ保存性を高めた携帯食で、現代の干し飯(ほしいい)や乾飯(かれいい)にあたる。古くは旅人や兵士が道中の食糧として持ち歩き、水や湯で戻して食べることが一般的だった。特に夏の終わりは、暑さで食べ物が傷みやすく、保存が利く引飯は重宝されたと考えられる。伊勢物語にも登場するように、旅の途中で木陰に腰を下ろし、簡素な食事を取る情景には、夏の暑さに疲れた旅人の姿が浮かぶ。昔ながらの知恵と風情を感じさせる、晩夏の季語。"