当薬引く


生活

  • よみ : トウヤクヒク
  • 季節 : 秋の季語
  • 四季の節気 : 晩秋
  • 時期 : 10月8日 ~ 11月6日 頃

"「当薬引く(とうやくひく)」は晩秋の季語で、山野に自生する当薬(せんぶり)を引き抜いて採取する作業を指します。当薬は古くから苦味の強い薬草として知られ、胃腸薬や滋養強壮剤として用いられてきました。その名も「病に当たる薬」として効果を期待されたものです。 晩秋、草木が枯れ始める頃、当薬は小さな紫がかった花を終え、地面にしっかりと根を張った姿を見せます。採取は丁寧に行われ、干して保存することで薬効が高まります。引き上げた草の独特な香りや苦味には、自然の力を活用する先人の知恵が感じられます。 「当薬引く」という季語には、秋の終わりに向けた野の作業の静けさや、自然の恵みを生活に役立てる営みが込められています。野山に入る人々の姿とともに、晩秋特有の澄んだ空気や落ち着いた景色を思い起こさせる言葉です。"