植物
"「摣子の実(しどみの実)」は晩秋の季語で、バラ科の落葉低木である摣子(しどみ)の赤く熟した実を指します。摣子は山野に自生し、春には小さな白い花を咲かせ、晩秋になると鮮やかな赤い実をつけます。この実は酸味があり、かつては食用や薬用に利用されたこともありました。 しどみの実が色づく頃、山里や林縁の景色には秋の深まりが感じられます。赤い実が目立つ様子は、葉を落とし始めた木々の中で特に印象的で、寂しげな秋の風情を際立たせます。また、鳥たちがこの実をついばむ姿も、晩秋の静けさの中に生命の営みを感じさせます。 「摣子の実」という季語には、自然の移ろいの中で目を引く赤い実の美しさと、晩秋特有の静寂や物寂しさが込められています。俳句や詩では、野の風景や季節の終わりを詠む題材として親しまれています。"