生活
"焙炉師(ほいろし)は、茶葉を焙煎し、仕上げる職人を指す言葉であり、特に新茶の季節に重要な役割を担う人々を表す春の季語である。 日本茶の製造工程では、摘み取った生葉を蒸した後、乾燥させながら揉む「揉捻(じゅうねん)」という作業が行われる。その後、焙炉師が茶葉を焙炉(ほいろ)と呼ばれる設備でじっくりと乾燥・焙煎し、香りや風味を引き出して仕上げていく。この工程により、茶の持つ甘みや旨みが増し、香ばしい香りが生まれる。 特に春の新茶の時期には、焙炉師の技が茶葉の品質を左右するため、熟練の技術が求められる。焙炉の前に座り、じっくりと火加減を調整しながら仕上げるその姿は、春の茶畑の恵みを人々のもとへと届ける大切な仕事の一端を担っている。 茶の香りが立ちのぼる焙炉場の風景は、日本の春の風物詩のひとつであり、新茶の爽やかな味わいとともに、春の訪れを感じさせる味わい深い季語である。"