物の音澄む


時候

  • よみ : モノノネスム
  • 季節 : 秋の季語
  • 四季の節気 : 三秋
  • 時期 : 8月8日 ~ 11月6日 頃

"物の音澄む(もののねすむ)は、夏の終わりから秋にかけて、空気が澄み渡り、周囲の音が一層鮮明に聞こえるようになる情景を表す季語である。 暑さの盛りを過ぎ、涼しい風が吹き始めると、蝉の声や木々の葉擦れの音、川のせせらぎなどが、どこか透き通るように感じられる。湿気を含んでいた夏の空気が次第に乾き、音がくっきりと耳に届くようになることで、季節の移ろいが実感される瞬間でもある。 また、都会では人々の話し声や生活の音、遠くの電車の響きなどが、澄んだ空気の中で際立って聞こえることがあり、静寂の中に秋の気配を感じさせることもある。 自然の音が鮮明に響くことで、夏の終わりの寂しさと、これから訪れる秋への期待が入り混じる。静けさの中に深まりゆく季節の気配を映し出す、風情ある晩夏の季語。"