天文
"「籾落し(もみおとし)」は晩秋の季語で、収穫した稲から籾(もみ)を取り外す作業を指します。脱穀とも呼ばれるこの工程は、稲作の収穫の最終段階として重要な役割を果たします。かつては、足踏み式の脱穀機や木製の道具を使って籾を落とし、その後、風を利用して籾殻を飛ばす唐箕(とうみ)を用いるなど、手間と工夫を凝らした作業が行われていました。 籾落しの際に響く軽快な音や、飛び散る籾殻の風景は、晩秋の田園に特有の活気をもたらします。一方で、収穫が終わりに近づいた安堵感と、冬の準備が始まる静かな節目の雰囲気も感じられる場面です。 「籾落し」という季語には、実りの秋の締めくくりを告げる象徴的な意味が込められています。俳句や詩においては、農村の生活感や、自然と人との関わりを詠む際に用いられることが多く、秋の終わりと共に訪れる収穫の喜びと穏やかな時間が描き出されます。"