生活
"「菱採り(ひしとり)」は晩秋の季語で、水辺に生える菱(ひし)の実を採取する作業を指します。菱は、水面に広がる三角形の葉と水中に育つ堅い殻に包まれた実を持ち、古くから食用や薬用として利用されてきました。晩秋になると実が熟し、水田や沼で菱採りが行われます。 菱の実は、茹でたり粉にして団子にしたりと、地域によってさまざまな形で食され、栄養価の高い自然の恵みとして親しまれてきました。水辺で竹ざおや網を使い、丁寧に実を拾い上げる作業風景には、秋の終わりの静かな情景と自然への感謝が感じられます。 「菱採り」という季語には、穏やかな晩秋の日差しの中で行われる、暮らしに根付いた素朴な営みが映し出されています。水面を揺らす小舟や採取に励む人々の姿は、季節の移ろいと共に、田園や水辺の豊かさを象徴するものとして詠まれます。"