行事
"雷の壷は、宮中にあった殿舎の一つで、内裏の西北隅に位置する「襲芳舎(しほうしゃ)」の別名とされる。これは、庭に「神解(かみとけ)」と呼ばれる木があり、雷鳴が響く際には天皇がここに臨御したことに由来すると伝えられる。また、「かんなりのつぼ」とも呼ばれ、雷が落ちるのを避けるための特別な場所として認識されていた。 雷は夏から晩夏にかけて特に発生しやすく、古代の人々にとっては恐れと畏敬の対象だった。宮中に雷を鎮めるための特別な殿舎があったことは、雷が神の怒りや天意を示すものと考えられていたことを示している。夏の終わりの不安定な天候とともに、雷への畏怖と宮廷の神秘的な雰囲気を伝える晩夏の季語。"