とりのくち


生活

  • よみ : トリノクチ
  • 季節 : 秋の季語
  • 四季の節気 : 初秋
  • 時期 : 8月8日 ~ 9月7日 頃

"「とりのくち」は、秋の季語として俳句や詩に詠まれる日本の伝統的な保存食で、新米をもみのまま炒り、臼で搗いてもみ殻を取り除いた「焼米」の別名です。この香ばしく甘みのある焼米は、農村では子供のおやつとして親しまれ、古くは正倉院文書や『和名抄』にも記述が見られるなど、千年以上の歴史を持つ食べ物です。近世には大量に生産され、京や江戸へ献上されるほか、焼米売りが町家を回って販売する光景も見られました。また、俳人たちにも愛され、「焼米や家に伝はる会津盆」(樗良)や「焼米や子のない家も御一口」(一茶)など、焼米を詠んだ句が残されています。素朴な味わいと香りは、秋の情緒や人々の生活を感じさせる季語として、今日でも日本文化の一端を担っています。"