行事
"「室町雛(むろまちびな)」は仲春の季語で、室町時代に作られた雛人形を指します。現代の雛人形に比べて素朴で小ぶりな造形が特徴で、簡素ながらも品のある姿が古い時代の美意識を伝えます。これらの人形は、雛祭り(3月3日)の始まりとされる頃に使われ、災厄を人形に移して川に流す「流し雛」や飾りとして用いられました。 室町雛には豪華絢爛な装飾はなく、木や紙、布などで作られた手作り感が温かく、当時の庶民の生活や美意識をしのばせます。この季語には、春の訪れとともに、日本の伝統文化の根源的な美しさや、人々の素朴な祈りが込められています。古風な室町雛の姿は、桃の花や草木の芽吹きと調和し、春の情景を引き立てる存在です。"