生活
"絽(ろ)は、夏の薄物に使われる薄手の絹地の織物を指し、通気性が良く涼しげな見た目が特徴の季語である。縦糸と横糸を部分的に抜いて隙間を作る「絽織り」という技法によって織られ、軽やかな透け感が生まれる。 主に夏の着物や羽織、帯などに用いられ、特に茶道や歌舞伎、礼装などの格式ある場面でも愛用されてきた。絽の黒留袖や訪問着は、暑い時期の正式な場にふさわしい装いとして親しまれている。また、薄く涼しげなため、見た目にも清涼感をもたらし、夏の風情を引き立てる。 強い日差しの中、絽の着物をまとった姿には、日本の夏ならではの優雅さがあり、涼を求める暮らしの知恵が感じられる。盛夏の暑さの中でも上品さを保つ、日本の美意識を象徴する夏の季語。"