植物
"蔦茂る(つたしげる)は、夏の盛りに蔦が勢いよく繁茂する様子を表し、生命力あふれる自然の姿を描く季語である。蔦は古くから庭先や塀、山野に自生し、その絡みつく性質から、建物や樹木を覆い尽くすように広がっていく。 特に夏の終わりには、緑濃く茂った蔦が壁や格子を覆い、日差しを遮る役割も果たす。木陰を作り、涼しさをもたらす一方で、無造作に伸びるその姿には、自然の力強さや、時には侘しさをも感じさせる。 やがて晩夏を過ぎると、蔦の葉は少しずつ赤みを帯び、秋の訪れを予感させる。夏の名残とともに、次の季節へと向かう変化を秘めた、風情ある晩夏の季語。"