生活
"葛切(くずきり)は、葛粉を練り上げて細く切り、冷水にさらした涼やかな和菓子を指し、夏の風情を感じさせる季語である。 透明感のある葛切は、つるりとした喉ごしが特徴で、黒蜜やきな粉をかけて食べるのが一般的である。特に暑さの厳しい夏には、冷たく冷やした葛切が爽やかな清涼感をもたらし、見た目にも涼しさを演出する。 葛粉は奈良県の吉野地方が特産で、「吉野葛」として知られる。古くから精進料理や薬膳にも用いられ、身体を冷やしすぎずに夏の暑さを和らげる健康的な食べ物として重宝されてきた。 涼しげな器に盛られた葛切が、氷水の中で揺れる様子には、夏の暑さを忘れさせる風情があり、日本の伝統的な涼味として親しまれている。夏の暑さをしのぎながら、繊細な美しさと味わいを楽しむ、上品な夏の季語。"